『やあ…リース
元気だった?』


鏡越しで魔女の姿が見えた
肌は変わりないが
髪が美しい青で、ルナのものだと
すぐに解り苛立った


『そうそう、もう3日目だ
なにのんきにやってんだい?
このままじゃリースは死ぬよ
さっさと王子を殺せば良いのに』


私の声で冷酷なことを吐くな、と思った


『何か言ったら?
あぁ声が無いのかー…フッ
大丈夫、心で喋ってごらん
ワタシにちゃんと届く』


《何の用?》


『ほらぁ…
用か…んー…
リースはワタシに頼みたいこと
ないのかい?
このままだと死ぬよ?』


《…何でも用意できる?》


『あぁ、勿論』


《じゃあ、眠り薬を頂戴
あと、どんな傷にも即効で効く薬って
ないかしら?》


『何を企んでいる?』


《もう3日目なの
時間が無いわ、早くして》


『フッ…無いわけじゃない
鏡に手を入れてごらん
これが睡眠薬だ
それから薬はお前の血だ』


鏡に手を入れてみた
にゅっと入り込んで手に何かを掴んだ


《これね…ねえ血ってどういう事》


『知らない?
人魚の血は不死身の血って言われてる
元人魚でもその血は健在だろぅ』



きっと魔女は私が
何を企んでいるか本当に解っていない