だがさっきの会話を聞いていると、凱はここの常連さんなのだろう。


「僕、お金が無いなんて言ってないけど……。」


「じゃあ、お金持ちなのになんで屋敷に住んでいないんですか?」


私がそう言うと凱はフウと息をついた。


「ときわ、お金持ち=贅沢な暮らし。と言う考えは間違えているよ。僕は、屋敷より小さな家でスーツとかよりジャージが落ち着くんだ。人それぞれに落ち着く環境が違うけど、僕みたいな人も沢山いると思うよ。」


「はあ。」


少なくともお金があればジャージだけの生活はしないと思うがあえて言わない事にした。


「お待たせ致しました。」


さっきドレスを取りに行った里美さんがドレスを持って私達の所に戻ってきた。