◇◇◇
教室を目指して廊下を歩いていた。
学ランにも違和感がなくなってきたし、クラスの男達と仲良くなってきた今日この頃。
だんだんあたしの中から〝女〟がなくなって来ているような気がする。
別に、もともと女女した性格でもなかったが。なんか複雑。
どうしてバレないんだろう。
いや、バレない方がありがたいんだけど。
……そんなことを考えていた時だった。
――ドンッ
「うわ!」
黒髪の女の子とぶつかった。
「ごめんっ、大丈夫?」
すかさず手を差し出す。
上履きの色からして一年生だ。
何であたし謝ったんだろう。
どう考えたって走ってぶつかって来た、相手の方が悪いはずなのに。



