「なぁ、聞いてもいいか?」



ひとしきり笑い終わった時、涼があたしを見ながら聞いて来た。


あたしはそれに「なにを?」と言い返す。



「泉が人と関わろうとしなかった理由」



その質問に胸がドキッと嫌な音をたてた。

この場に居る全員があたしを見つめる。



「んー……」



口角を上げ、思い出すフリをしながら、あたしは天井に視線を向けた。


思い出さぬとも、


忘れた日なんてなかった。

……忘れることなんてできなかった。


人を恐れることを知らなかったあたしが

人を恐れるようになった、あの日を。



「……んだよそれ!!」



全部話終えてからの遥の第一声。



「俺が泉だったら殺してた」



遥の怒りを露にした言葉。



「本当に?」



……雅?