「おい!桜ぁ!!」
バーンと、再び扉が勢いよく開いた音がした。
聞き覚えのある耳障りな声も同時に。
俺の目線は相変わらず校庭の桜の木にとどまったまま。
……懲りねぇやつら。
「なんすか、先輩。また負けに来たんですか?飽きませんねぇ……」
嫌味を含む雅の言葉。
「うるせぇーよ、二年の分際で。二年のお前らが、この中学の頭なんて俺らは認めねぇ!!」
またか。そう言って、何回俺等に負けたか忘れたのか……?
……俺も覚えてねぇーけど。
そんなの、多すぎていちいち覚えてらんねぇーし。
「涼は手出さなくていいからね?」
「俺と雅だけで上等だ」
任せる。そういう意味合いで後ろの2人に俺は手をヒラヒラさせた。



