「遥、また女と電話してんの?」
遥を見て呆れながらも笑う雅。
こいつはカッコいい系の遥と違って、可愛い系で女から人気だ。
黒にピンクのメッシュが入った髪型をしている。
笑うと八重歯が見えて可愛いらしい。
……俺の妹が言っていた。
「明日の入学式、出る?」
「当たり前だろ!」
「あ、電話終わった?」
いつの間にかスマホをしまっていた遥が屋上のふちに腰をおろした俺の目の前に座る。
春の風が優しく頬を撫でた。
「明日の戦争でここの頭は俺達〝桜〟だって覚えさせなきゃ……だろ?」
「生意気な1年が来たら面倒だなー……」
そう言うと雅はダルそうな顔をした。
2人の話を横で聞きながら俺は校庭に植えられている桜を見下ろしていた。



