完全なる防戦一方。
なかなか手が出せない。
どうすれば……
「お前等……チンピラか?」
唐突に聞こえて来た声。
その声はクリーンに聞こえて来た。
俺も敵も、みんなその声の主に注目した。
救世主、現る……か。
「泉……」
スウェットに黒のパーカー。その黒のパーカーについたフードをかぶっている泉。
表情はパーカーのせいでよく見えない。
「複数で1人を……。こうゆう卑劣なことするやつが俺は一番キライなんだ……!」
春の風が泉のフードを揺らした。
そして一瞬だけ垣間見えた泉の瞳から…
――殺気を感じた。



