「本当、あたしって弱虫だよね。今も昔も。また、お母さん置いて来ちゃった」
弱くなんかない、って言っても沙羅には同情にしか聞こえないんだろうな。
「あのさ……涼は、どんな気持ちであたしを助けてくれてたの?」
どんな気持ち?
「沙羅は俺が居なきゃダメなんだって、思ってた……」
「それは、妹みたいな感情で?」
「ん」
物心ついた時には
既に沙羅が近くに居て。
もう家族みたいな感覚だった。
「妹か……。ま、いいや。今はそれでも」
「?」
「なんでもない!帰ろ!泊めてくれる?」
眩しいほどの笑顔を見せた沙羅は、また俺より一歩先を歩き出した。
恋愛感情とは、また違うけれど。
沙羅は大切な女だから。
守りたい…―――



