「〝また〟…か?」
覗き込む俺に目線を合わせずに沙羅はコクッとうなずいた。
それを確認した俺は沙羅の家の中に入ろうと沙羅の家のドアノブに手を伸ばしたが、今度は沙羅が俺の腕を掴んで阻止した。
「離せって……」
「……やだ」
ギュウッときつく腕を俺の腕に絡ませる沙羅。
「そんなことしなくていい。そんなことするぐらいなら傍に居てよ……」
「……わかった」
俺はそう言って沙羅の頭を軽く撫でた。
……沙羅の親父は酒を飲むと、沙羅や沙羅の母親に手をあげる。
つまりDV。
その父親を殴りに行こうと思ったが、沙羅はそんなことをしてほしくないらしい。



