結局その後も理由は聞けずにカラオケやらボーリングやらに行って2人とは解散した。
――夜の11時。
ちょっと早かったが俺が住んでいるマンションに着いた。
鍵を鞄から出しているとバンッと勢いよく隣の家の扉が開いた。
そして出て来たのは沙羅だった。
「沙羅?」
「涼……」
顔を上げた沙羅の目には、うっすらと涙が浮かんでいる。
気まずそうに顔を歪ませる沙羅はズカズカと歩き出し、俺の横を通り過ぎようとした。
……が。俺が腕を掴んで止めた。
「なんでいんだよ。友達ん家に泊まるんじゃなかったのか?」
「友達の都合が悪くなって中止になったの……」
いつもよりワントーン低い沙羅の声。
俺は眉間にシワを寄せた。



