◇ ◇ ◇
放課後。遥と雅とこれからなにしようかと話ながら教室を出た時。
「涼!」と聞きなれた声に引き止められた俺は後ろを振り向く。
「これ真菜ちゃんに渡しといて」
サラサラな髪をなびかせながら、沙羅が妹の真菜に借りたんだろうCDを持って走って来た。
「自分で渡せよ。どうせ夜に来るんだろ?」
「今日は友達の家に泊まるから行かない。ちゃんと渡しといてよ?」
仕方ない、と沙羅からCDを受け取る。
すると沙羅は「じゃあね」と笑顔で手を軽く上げて友達の所へ走って行った。
「…………」
後ろからチクチクと視線を感じるんだが気のせいだろうか。



