「俺の名前、覚えてくれました?」
「佐山恭輔……」
「ピンポーン!正解!」
さやま きょうすけ、ねぇ。
「お願いしますよ~、先輩。弟子にしてください」
「だから。無理だって言ってんじゃん」
「本当にお願いします。俺にケンカを教えてください!」
恭輔はそう頭を下げた。
「……言い方が悪かったな。無理じゃなくて、嫌なんだよ」
深々と頭を下げ続ける恭輔。そんな恭輔に困り顔な泉。
もう、弟子にしてやればいいのに……
「お願いします!」
「マジしつけぇ。……俺、しつこい奴は嫌いだから」
泉はそう冷たく言い放って、教室に入って行った。
なんか……
可哀想だな、こいつ。
恭輔がゆっくり頭を上げる。
「また来るって、泉先輩に言っておいてください」
俺に頭を軽くペコッと下げて、恭輔は帰って行った。