「泉は挑戦すんの?挑戦するなら屋上に行けば、涼が待ってるぜ」
「いや、行かない。俺は頭とか、そんなガラじゃねぇからな」
それに、多分。
あたしは涼には勝てない。
「まさか泉ちゃん、びびってる?」
「……なぁ、雅。今こいつ俺にケンカ売ったよな?」
「うん。売った売った」
「はっ……いや、ちょっ待て泉。早まるなっ…うぎゃあーー!!」
――遥の悲痛な叫び声が学校中にこだましたのは一時の都市伝説となった。
うずくまる遥の周りが涙の海になっているのは、あえて突っ込まない。
「あははっ。泉サイコー!」
「雅…お前っ、覚えてろグフッ……」
「なに?聞こえなーい」
遥の背中を踏みつけながら笑うは天使の顔したドSの悪魔。