「泉ちゃんには言われたくないなぁ、泉ちゃんには」
「それ、どうゆう意味だよ」
ちゃん、をやたら強調する悪魔の仮面をかぶった雅を軽く睨む。
彼があたしを泉ちゃんと呼ぶ度に〝バレた?〟と心臓が跳ねるが、雅の表情を見るとバレてないなってわかる。
「あ。泉、後ろ」
あたしの後ろを指差しながら言った雅。
後ろ?と振り返ると殴りかかって来る男が一人。その男の顔に回し蹴りをお見舞いしてやった。
一発でノックアウト。
「あ~…さっき泉とケンカしなくてホント良かったわ……」
雅が苦笑しながら安堵のため息を吐いていたなんて、あたしは知らなかった。
たくっ……
人と話してる時にケンカを仕掛けて来るなんて、礼儀がなってねぇーな。



