俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



その言葉に胸が痛くなる。

涼が倒れて以来学校には行っていないし、みんなからの連絡は一切返していない。


病室にくるみんなから「返事しろよっ」と会うたびにひやかされるが、その度に煮え切らない返答をしていた。



「無視すんなよな」

「ごめん……」

「ちょっと話そう」



久しぶりにふたりで並んで歩いた。
向かったのは小さな公園だった。ブランコに腰かけた柊に、あたしも倣うように隣のブランコに座った。



「俺さ、桜の気持ち知ってた」


「……っ……」


「でも見て見ぬ振りしてた。そしたら桜は優しいから、ずっと俺のそばにいてくれると思ってたんだ。俺、ずりぃよな……」



そんなことない。そういった意味を込めて顔を左右に振った。そしたら柊は「優しいな」と笑った。



「まだ好きなんだろ、涼のこと」

「…………」

「認めていいんだよ。無理しないで。俺はそんな顔をさせたくて、身代わりを志願したわけじゃないんだから」



ブランコを降りた柊があたしの前にひざまずく。
そしてあたしのことを見上げた。



「あたし、ちゃんと柊のこと、好きになろうって思ってたよ……っ」

「うん、知ってる」

「好きだと、思ってた……っ」

「伝わってるよ、ちゃんと」