俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。




そのとき初めて沙羅ちゃんに"泉ちゃん"と呼ばれた。はっと顔をあげる。



「泉ちゃんも女の子だもんね。涼だって守りたいんだよ」

「……っ」

「だから自分を責めないで。涼はヒーローだよ。好きな女の子守りたい男の子なんだよ。泉ちゃんが自分のこと責めたらせっかくの涼の行動がかっこよくなくなるよ」



沙羅ちゃんが立ち上がって笑う。



「女の子はかっこいい男の子に素直に守られようよ」



そして病室を出た。あたしと涼だけになる。

手を握った。


あたしはいつも守られてばっかりだよ。


なにもすることができないあたしても涼のそばにいていいのかな……?


涙が頬をつたった。こうして君を想って泣くことしかできないのに。


そして面会時間が終わり、病室を出た。


病院をあとにしていたあたしの目の前に、人影があった。

病院の入り口でポケットに手を入れて立っていた人物に目を見張る。



「柊……」

「よう、会いにきたよ」