俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。




なんて考えていることすら、すごく汚らしい。


贅沢なんだよ、あたしは……。


仲間たちとまた再会して、また戻ることができて、十分じゃないか。


なんでこんなに切ない気持ち抱えてるんだよ、馬鹿が。



「ねぇ、泉」

「ん?」



話しかけてきたのは、里佳だった。



「今日の放課後さ、久しぶりにふたりで遊ばない?」

「うん、いいけど……」



いったい、どうしたんだろう……?


どこか神妙な面持ちの里佳に戸惑いつつも了承した。
放課後、みんなと別れて里佳とふたりで歩いてカフェに向かった。


里佳はいつもの調子で「泉はなに頼む?」なんて楽しそうにメニューを広げて目を輝かせていた。



「あたしコーヒーでいいや」

「じゃあ里佳はココアにしよ〜っと」



店員さんに注文をし終えたあと「ふたりとか久々だね」って言うと里佳は「たまには理解ともデートしてよ」と口を尖らせた。



「里佳、泉が男のふりして学校通ってたこと知らなかったよ」

「ああ、ごめん」

「涼くんたちと再会しなかったら言わないままだった?」

「……うん、そうだね」



仲間を騙して、嘘ついていたことなんて、言えなかったよ、とても。


里佳のことを信用していないとか、そういうのではなくて。