「くそっ……たれ!!女のくせに!!」
「うるせーから、さっさと自分の教室行きやがれ」
腕組みをして倒れこんだ奴を見下ろしながら言うと、奴は悔しそうに舌打ちをして慌てて帰って行った。
おととい来やがれってんだ。
「ひゅー!さっすが泉ちゃーん」
雅の機嫌のいい声。
みんなの方を振り向くとみんな笑顔なのに、涼と柊だけがなんだか怒っているように見えた。
うわ、やっべ。
「桜、いつも言ってるだろ」
みんなのもとへ戻ると柊が口を開く。
やっぱり、はじまった。
「ケンカは必要以上に買わない。危ないだろ?」
柊のお説教が。
あたしがケンカをした後はいつもこうだ。
なんでケンカするんだ。
必要以上にケンカはするな。
……と、まあ正論をぶつけて来る。
香と理佳に助けを求めてもふたりはお手上げといった感じの目線を送ってくるだけ。



