「サットン、逃げたな」
「逃げたね」
「逃げたのか」
……なにからだよ。
クラスメイトの言葉に心の中で突っ込む。
今日は入学式しかないはずなのに。
「去年も来なかったよね。まあ、戦争の日にサットンは来なくて正解だよ」
聞きなれない言葉。
戦争?
「サットン、ケンカ駄目だもんな。昔の血が騒ぐって言ってたし」
「ケンカ見たら頭に血がのぼって暴れるって噂だぜ!」
なんじゃそりゃ。
でも昨日、ケンカの話しただけで壁に穴開けてたし……。
あながち嘘じゃないのかも。
てか……。
「戦争ってなに?」
ポツリと呟いたらみんながザッと一斉にあたしに注目した。
な、なに……?
あたし変なこと言った?
「そっかぁ……泉くんは知らないんだぁ」
隣の席の女子が悪戯っぽい笑みを浮かべてあたしに言った。



