「意味わかんね。ちょ、どけ」
遥の横を通り抜け、あたしの目の前にやって来ると彼は勢い良く拳を振り上げた。
咄嗟に目を瞑る。
……だけど、想像した痛みはいくら待ってもやっては来なかった。
「り…っ」
目を開けて、拳を振り上げたままの彼の名を呼ぼうとした時。
頭に手を置かれて、唖然とする。
そしてもう片方の手で腕を引っ張られ、気づけばあたしは彼の胸の中にいた。
「……!?」
それは、言葉にならないぐらい。
「お前がなんと言おうと、お前は変わらず俺達の仲間だ」
……殴られるよりも痛いものだった。
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