動揺から瞳が揺らぐ遥。
胸ぐらを掴む手がゆっくりと下ろされた。
「出来るわけ、ねーだろ…」
「なんで?」
「なんでって……」
「あたしが女だから?」
そう言うと、遥は面を食らったようにうつむいた。
…遥、ごめん。
でも桜達の気持ちがわかるから。
〝性別なんか関係ねー〟
〝泉は泉だろ〟
みんな優しいから、香と同じようにそうやってあたしを受け入れてくれるのはわかってるの。
自意識過剰?
でもそんなのは違うのよ。
だってあたしが女である限り、前みたいには絶対に戻れない。
男と女は全然違うもの。
男の友情は一発殴って、仲直り。
だけど女のあたしを桜達は殴れない。
女だから。



