俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



その声を聞いた瞬間、俺の脳裏に一年前に別れた泉の顔が浮かんでは、目の前にいる"女"と重なった。


目を見開く。しかし全く言葉が出て来ない。



「涼?どした?」



遥が俺を呼ぶ。
かたまりすぎて、返事ができない。



「ーーさくら?」



そして目の前の女子を桜と呼ぶ灰色の頭をした男。


いず……み……?

お前、本当に泉なのか……?


お互いがお互いの瞳から目をそらせない。


まるで時間が止まったかのようだ。



「香……っ!?なんで居んの……!?」


「……雅」



雅の驚いた声で香も泉の後ろに居ることに気づいた。


なにがなんだか…ーーーー



「りょ……っ」


「おぉーーい!!先輩が後輩を可愛がりに来てやったぞぉ〜っ!?」



その泉の声がかき消された。
ふと振り返るとバットを肩に担いだ先輩たちがニヤニヤと笑いながら横柄な歩き方でこちらにやって来ていた。


1年生の視線が集中する。


横目でその先輩を確認するとその先輩は4人、居るようだ。