あれは夏ももう終わりに近づいていた頃だった。そろそろ志望校を絞らなくちゃいけないような時期で。
そんな時、真さんとばったり再会した。
『おぉ、久しぶりだな』
『…お久しぶりです』
『元気してたか?』
『まあ……』
『そうか』
『…………』
『…………』
もともと俺はそんなに話す方じゃないし、会話はそう続かなかった。
でも、真さんは唐突にこう言ったんだ。
『高校は、どこ受験するんだ?』
『まだ決めてないっす』
『…そ。…なら、桜ヶ丘高校行けよ』
真っ直ぐ、俺を見ながら言った言葉の奥に何かメッセージが込められているような気がした。
根拠とか、そんなもんは無いけれど。
『決まってねぇなら、桜ヶ丘高校に行け』
―――真さんはきっと、俺達を逢わせようとしてくれているんだ、って思った。