だから里佳はクマが好きなのか。
お父さんとの唯一の思い出だから。



「ずっと柊を見て来た。ずっと柊と一緒に居た。だけど…柊は泉を選んだ」


「里佳」


「悔しいけど、しょうがないよ。誰を好きになろうが、柊の勝手だもん」



ニッと里佳は無理に笑って見せる。

その笑顔はあたしの胸をキツク締め付けた。



「里佳は泉も好きだし。だから二人を応援したい」



あぁ、あたしは大馬鹿者だ。



「泉を見てたら柊を本気で好きなんじゃない事くらい分かるよ。でも、付き合うって決めた事に、少なからず理由があるんだよね…?」


「…っ……」


「少しずつでいいから、柊を見てあげて?…好きになってあげてね」



あたしは何人の人を自分のワガママに付き合わせるつもりなんだ。


香も、柊も、里佳も。

みんな、ごめん。



「分かった……っ」



あたし、柊を本気で好きになるから。


好きになるから。

絶対に―――