肩に手を置いて距離をあけると、柊があたしの顔を覗いて来た。
「アイツの身代わりでもいいから」
「そんなの……!」
「傷つけられてもいいって言ったよね」
「でも!」
そんなこと、できないよ。
「あたしは柊を傷つけたくない…!」
「だったら尚更だ。断られた方が、俺は傷つく」
あたしの頭を撫でながら言った柊の瞳は優しさに満ち溢れていた。
どうして……?
「どうしてそこまでするの?」
「桜が好きだから」
「…っ……」
「付き合ってくれるよね?」
柊をあたしは彼と被せてしまう。
まるで彼から告白されているかのような感覚。
本当は柊なのに。
分かっているのに、分かっているのにも関わらず。気づけばあたしは柊の問いにうなずいていた。



