「――…桜ッ!」 柊が走るあたしの名前を呼んだ。 反応せず、走る。 ……神様、お願い。 今の柊の、 あたしを呼ぶ声が、 涼達に聞こえていませんように。 ――――… どこか分からないけれど、人気のない古くてボロい神社に来ていた。 神社の入り口である鳥居の前に連なっている階段に腰をおろしす。 鳥居もボロボロ。 「はぁー……」 あがった息を落ち着かせる。 ……神社を見て、思い出した。 引っ越し初日に、神社で涼とタイマンしたんだっけ。 ……思い出したら笑える。