「涼…?」 あたしが言えなかった名前を、意図も簡単に言ってのけたのは香。 それに反応した柊は、目を見開いて〝涼達〟を見た。 そう。 雅も遥も居る。 「?」 里佳は一人、キョトンとした様子でいた。 当たり前か。 里佳は涼達を知らないんだから。 ……あぁ、もう。 忘れようとしたのに。 どうしてなの。 どうしてっ…… 手で拳をつくって、唇をギュッと噛む。 忘れかけた時に、どうして。 神様は意地悪だ。 あちらはまだ あたしに気づいてないようだ。 逃げるなら、今のうち―――…