俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



「……痛い」



手が、

掴まれている手首が痛い。



「…ねぇっ、柊ってばっ……」



駅を出てすぐに香と里佳が視界に入った。


そしてあたしは直ぐ様、柊の手を力任せに振りほどいた。


握られていた右手首を左手でさする。



「もう、柊!痛いじゃ…」


「桜は強いけど、一応女なんだから!少しは気をつけろよ!」



出かけの声が引っ込む。


近寄って来ていた香達もビックリしたのか、立ち止まる。


文句の一つでも言ってやろうと思ったのに、
あまりに真剣にそんなことを言うから。



「ごめん……」



……謝るしかない。