「…………」
しまった。
みんなとはぐれちゃった。
立ち止まるあたしの周りは騒がしく動いているからか中々見つからない。
肩を目付きの悪い男にぶつけられたが、この状況じゃ仕方ないか。
いちいち怒ってたらキリがない。
それにしても、どうしよう。
キョロキョロと周りを見た後、とりあえず歩こうと思った瞬間。
「桜!」
手首に熱い体温を感じたと思ったら、グンッとそのまま引っ張られた。
すぐ目の前に彼の胸。
見上げると、思ったより近くに彼の顔が。
柊…!
「焦ったじゃん」
「ゴ、ゴメン」
「……行こう。2人が待ってる」
引っ張られるように2人歩く。
なぜだろう。
柊、怒ってるの……?



