俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



ドスのきいた声を出してみたが、我ながら怖かったと思う。


ニヤリと笑って2人の首から絡めていた腕をどかし、駅の入り口に向かう。



「里佳、たっぷり使ってやろうねっ」


「ふふっ、うん!」



にこやかに笑いながら2人をいじめるのは、なかなか楽しい。


チラッと後ろを向くと2人して財布の中身を確かめていた。



……笑える。



「そういや、何で泉浴衣じゃないの?」



電車の中。

突然話し出したのは柊。



……気づくの遅くないスカ?