「もしもし?」
そう言って直ぐ、
柊はグッと顔をしかめた。
「ちょっ…落ち着け里佳。大丈夫だから。……どうしたの?」
落ち着け?
里佳?
大丈夫だから?
単語単語と出て来た里佳の名前。そして柊の声と表情から、あたしは嫌な予感がした。
「……わかった。今すぐ行く」
パタンとケータイを閉じ、立ち上がった柊に続いてあたしも立ち上がる。
「香が不良数人に絡まれたって、里佳が……」
やっぱり。
「場所は?」
「K駅の近く……って、桜!!?」
柊に場所を聞くなり、K駅に向かって一目散に走り出した。
――…迷いは、なかった。
香……!



