「もう誰も傷つけたくないし、傷つきたくもない…」


「ん」


「あたし、間違ってる?」


「いんや、間違ってないと思う」



柊は下を向いて、
何かを考えているようだ。


あたしはグラウンドに目をやる。



「でもさ……その涼くん達を、桜は裏切ったって言ったけど」


「?」


「裏切ったかどうかは、涼くん達本人が決めるんだから。わかんないじゃん?涼くん達がどう思うかは」



あたしの目を見ながら、柊は言った。


確かに、そうなのかもしれない。


だけどね。



「涼達を裏切ったっていう罪悪感はどうやっても消えない」


「桜」


「これはあたしのキモチの問題なの」