「どうして泣くの」 分かんない。 全部全部、分かんない。 だから泣けるのかもしれない。 「桜は1人で抱え込み過ぎなんだ」 「…っ……」 「桜のこと、教えて?知りたい。桜が抱え込んでること全て……話したら楽になるし、解決策が見つかるかもしれないよ」 ポンと頭に置かれた柊の手が、優しい手つきであたしの頭を撫でる。 ……温かいと思った。 頭を撫でられるなんて、お父さん以外で初めてだったから。 すごくドキドキした。 そして、この手が〝涼だったら…〟なんて考える自分が――すごく嫌だった。