俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。




神社の出入口はただひとつ、今小渕さんが登りきった階段のみ。


つまり、階段から逃げることは不可能。



ま、俺達には関係ないけど。



神社を囲っている自分たちの身長より高い柵を難なくヒョイッと乗り越える。


そしていつものお返しと言わんばかりに遥と雅の2人が同時に……。




「アッカンベェー!」




と、小渕さんに見せつけた。



柵の向こうに居る小渕さんはすごく悔しそうに「このぉ…」と顔を真っ赤にしている。



手を叩いて爆笑する。




「よし、行くぞ!」


「吉、郁造?誰それ……」




含み笑いをする雅を軽くこずく。



誰それって俺が聞きてぇーわ。