香に一番言ってはいけない言葉を、あたしは言ってしまった。
今ならまだ否定できる。
まだ修正できる。
……けど、これでいい。
うつむきながら、香はあたしの横を風を立ててすり抜けて行った。
その後を里佳が追いかけて行く。
「今のはないよ」
そう、あたしに呟いて。
フゥーと息を吐いたあたしも帰ろうとすると「待てよ」とピアス男があたしの前に立ちふさがった。
面倒臭くて「チッ…」と舌打ちをする。
「どけよ……」
そして膝の裏を蹴って相手をよろけさせた後、ひじをみぞおちに決める。
「さっきはわざと避けなかったの……わかる?」



