そしたらバランスを崩した長髪男は、廊下の方に飛んで行って壁に背中を激しく打ち付けた。
情けなく倒れたその男を見下ろす。
「てめぇ!」
もう1人のピアス男があたしに殴りかかって来たが、あたしは避けなかった。
……ガツッ!
口の中に久しぶりに広がる血の味。
ジンジン熱を持ち始めた左頬を右手で触れると、麻痺していて変な感じ。
「お前!!」
「てめっ、なに女に手出して……」
「―――来るな!」
怒った様子で近寄って来た香と柊に、一喝して動きを止める。
……来るな。
「ケンカを売られたのはあたしだ!手助けなんて要らねぇんだよっ」
あたしは守られなくて、いい。
あたしを守ってくれなくて、いい。
だから、
関わって来んじゃねぇ。



