「あーあ。泉ちゃんの綺麗な顔に傷をつけた」
綺麗な顔、を強調して言う雅を睨む。
同じように泉も遥を睨んでいるが、きっと泉は〝泉ちゃん〟って言った事にキレているのだろう。
でも、今はタイマンしてんだ。
よそ見すんじゃねぇ!
その場から走って、飛び蹴り。
でも、悠々とかわされた。
振り向くと泉の拳が目の前に。
――ヤバい。
そう思う前に、頬っぺたに衝撃が走った。
口の中で血の味がする。久しぶりの感覚にフツフツとお腹の辺りから何かが込み上げて来た。
ペッと血と唾を吐き出す。
「はっ……そうこなくちゃな!」
タイマンじゃねぇ。



