「ねぇ、だいじょ……」 「触らないで!!」 顔を見せないようにしていたからか、肩を掴まれたのを拒んだ。 でも、本当は声も発しちゃいけなかった。 「え……?」 ガバッと肩を両手で捕まれて、無理やり〝彼〟の方に顔を向かされた。 でも絶対、 視線だけは合わせちゃいけない…… 「いず…み……?」 逃げたかったあたしを、そう簡単には逃がしてはくれない現実が恨めしい。 あたしを見ないで。 香―――…