肩で息をしながら、痛みも感じない赤い手を力なく落とした。
「はぁはぁ…」
視線はうずくまるクラスメイトを、冷ややかに見つめている。
また、自分を見失った。
もうあたしを止めてくれる仲間もダチも家族も居ない。
あるのは空虚感。
心に穴があいたような虚しさ。
「桜……」
あたしの名を後ろで呟いたのは、さっきの灰色の髪の男。
女子達はあたしを恐れて、さっさと逃げ出していた。
「あたしが怖い…?」
フッと笑って振り向きながら彼に聞くと、彼は苦しそうな顔を横に振って。
「怖くない」
あたしは目を見開く。
涼の顔と言葉が不意に思い出された。
『俺はお前が怖くない』
忘れる術はないのだろうか。
さようならできないの?
この想い―――…
あたしの頬に一筋の涙が伝った。