「あたしも一年前まではここからワリと近い所に住んでたから……知ってる」
ここがどんなに危ない所かってことも。
一度も訪れたことはなかったけれど、風の噂で知っている。
「ならなんで……」
…なんで?
「そんなの、ケンカに飢えてるからに決まってるでしょ?」
そう言ったら彼の目が凍りついた。
「それに、招待されちゃったし。…クラス全員であたしの歓迎会だってさ」
上等じゃん?
「アンタもそれでこんな所に来たんでしょ?いいの?あたしに〝行かない方がいい〟なんて言って」
あたしがそう言うと彼は目をあたしから背けて、そしてまたあたしを見る。
「リンチとか……嫌いなんだ」
思わず目を見開いてしまった。
あたしと同じだ。



