俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



「涼……〝俺〟はみんなが大好きだったよ。ありがとう」



でも、やっぱりあたしは…――


桜には〝男の泉〟のまま、あたしを記憶に残しておいてほしいんだ。



『泉?』


「さようなら」


『ちょっ…待て!いず……』



さようなら、桜。

さようなら、涼―――…


涼の言葉を遮るように電話を切って、そのまま電源を落とした。


本当に大好きだった。

本当に本当に大好きだった。


ありがとう。