その瞬間、あたしの思惑通り静かになった教室。隣に立つ先生が目を見開いている。
みんながこっちを向いたのを確認したあたしは一歩前に出た。
「転校生が来てんだ。静かにしろよ。自己紹介できねぇだろ」
クラスメイト全員を敵に回した。
でも、それでもいいと思ったから。
「誰だ…?お前……」
一人の茶髪男があたしに言った。
「だから今、名乗ろうとしてんだろーが」
頭悪いのかよ、こいつ。
鋭く睨んで来る彼に対してあたしは冷ややかな目で迎え撃つ。
こうゆう威勢の良い奴に限って、ケンカ弱いんだよね。
「今時黄金の桜の真似?ダッサー」
「でしゃばんなよ!」
「お前なんて要らねぇよ」
みんながみんな言いたい放題。
顔を少し下に傾けると、フードがあたしの顔に影をつくった。



