今すぐは無理だから、春休みが終わって3年生になったら転校。
そうお父さんと約束した。
だから、残された時間を精一杯に楽しく過ごそうと思ったんだけど。
やっぱり無理だった。
みんなあたしを男だと信じて笑いかけてくれているんだと、
そんなみんなを騙しているのだと思ったら、とてもじゃないけれど。
楽しいとは思えなかった。
そして今日。
「よし……」
久しぶりに着たセーラー服。その上に白に近いカーキ色のパーカーを着た。
靴下はルーズソックス。
爪には紺碧色のラメ入りマニキュアを。
等身大の鏡には久しぶりに〝黄金の桜〟のスタイルをしたあたしが映っていた。



