「泉ー!夜ごはんできたよー!?」
「っ……今行く!」
お父さんのあたしを呼ぶ声。
学ランを脱いでベッドに置くと、あたしはリビングに向かった。
「お兄ちゃん、居たんだ」
「今日、みんな用事があってさ。誰も捕まんなかったんだよ」
珍しい。お兄ちゃんがこんな時間に、家に居るなんて。
……そういえば。
雅は今頃、香とごはんでも食べているのだろうか。
遥は女の子とデートだったね。
涼は……
まだ沙羅ちゃんと一緒に居るのかな。
……チクッと胸が痛んだ。
「お前こそ、桜達と遊ばなかったのか?」
「うん」
「ふ~ん……。お前、いつまで男のフリする気?」
え?



