俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



しばらくフリーズして、真菜の言葉を理解するのがやっとだった。


真菜の腕を掴んで優しく突き放す。



「ごめん、真菜」



本当にごめん。あたし女なんだ。



「応えられない」



真菜の傷ついた顔に、目線を下にやる。


あたし、最低な人間だ。

女なのに男のフリなんてして。


――…いろんな人を裏切ってる。


今の今まで、気づかなかった。


最低だ……。


裏切りを誰よりも、何よりも嫌っていたのはあたしなのに。


あたしがみんなを……


それも、真菜を
傷つけて初めて気づくなんて。







「ただいま……」



家に入ったあたしは部屋へ直行した。


ベッドにダイブする。


時計の針がやけに浮いて耳に入るのが、なんだか気持ち悪い。