しばらくフリーズして、真菜の言葉を理解するのがやっとだった。
真菜の腕を掴んで優しく突き放す。
「ごめん、真菜」
本当にごめん。あたし女なんだ。
「応えられない」
真菜の傷ついた顔に、目線を下にやる。
あたし、最低な人間だ。
女なのに男のフリなんてして。
――…いろんな人を裏切ってる。
今の今まで、気づかなかった。
最低だ……。
裏切りを誰よりも、何よりも嫌っていたのはあたしなのに。
あたしがみんなを……
それも、真菜を
傷つけて初めて気づくなんて。
◇
「ただいま……」
家に入ったあたしは部屋へ直行した。
ベッドにダイブする。
時計の針がやけに浮いて耳に入るのが、なんだか気持ち悪い。



