俺の愛も絆も、全部お前にくれてやる。



胸がドクドク嫌な音をたてる。



「泉?」


「ごめんっ。俺、用事思い出したから帰るわ」



ありきたりな理由をつけて、その場を急ぎ足で去った。


後ろからあたしを呼ぶ声が聞こえたけれど、一度も振り向かなかった。


急ぎ足から、全力疾走。

そして、歩いて立ち止まる。


どうしよう……

あたし、涼が好きだ―――…


認めたくないけど、好きなんだ。


だって、それは
あたし達の〝終わり〟を意味している。


こうなったら、
あたしはもう完璧に女だもの。


一緒には居られない。