「満足した?」
あたしの言葉に立ち止まる佐久間。
涼を思いのままに殴って
アンタは満足したの?
「これで満足したならアンタは人間のクズだ」
最低最悪の人間だ。
「じゃあ、俺はクズじゃないな」
工場内に響く佐久間の声。
なんとなくだが、佐久間の口調が柔らかくなった気がした。
顔を上げて佐久間の顔を見ると、彼の瞳が揺らいでいることに気づく。
「満足どころか……殴れば殴るほどムカついた。ほんとムカつく。涼‼︎……次はタイマンしよう。強くなって来るから」
佐久間に背を向けるように立っている涼が、それに応えるように手を上げた。



