「ほら、早く殴れよ」
涼の背中が大きく見える。
凄く、頼もしい。
針積める空気に胸が活発に動く。
ドキドキ ドキドキ…
苦しいくらいに。
それでも涼の背中から目を反らさない。
――…その瞬間。
「オラ゙…!!」
佐久間のパンチが鈍い音をたてて、涼の頬を直撃した。
その反動で涼の顔が右を向く。
ズキッ――…
思わず目を反らしたくなったが、それは絶対にしちゃいけない。
涼の覚悟から
目を反らしちゃいけない。
その後、何発も何発も。
佐久間は涼を殴り続けた。
そして、その度にあたしの胸は締め付けられるように痛くなった。



