佐久間が冷ややかな目で俺を見下ろしながら訊ねて来た。
思わず笑う。
「……惨めだな、佐久間」
「は?」
「大切な人のために戦った事がある奴は、こんな惨めな戦い方はしない」
お前は大切な人のために、大切な人を守るために戦った事がないんだろ。
だから、
こんな卑劣な事ができんだよ……。
「可哀想な奴……」
同情するよ。
誰かのために戦った事がないお前に。
痛む体にムチを打って立ち上がらせる。
「お前に何がわかんだよ」
「お前の事なんてわかんねぇよ。わかりたくもないわ」
そう言った俺に「ムカつく」と睨む佐久間に、恐怖なんて抱かない。



