「なに?さっき言ったこと、もう一回言ってみなよ」
「…くっ………」
涼しくもキレたような顔をした泉は手に力を入れたようで、クロの顔が悲痛に歪む。
───…強い。
「雑魚が、ほざいてんなよ」
ボソッと呟いた泉に鳥肌が立つ。
泉が掴んでいた拳を外した瞬間、クロは右手を左手で支えた。
「強ぇーな!」
ははっと目をキラキラさせて笑うのは遥だ。
「……で。戦ってくれんの?」
俺に目をやる泉。
俺より10cmは小さいであろう泉は下から俺を睨み付ける。
「別に、最初から拒否ってねーし」
「やった」
目が笑ってねぇよ?
「あ、そだ。俺が勝ったらこの学校の頭は俺ってことでいーよな?」
泉のその発言にザワつく教室。
安い挑発も、今のやつの強さを見ていたなら本気だと思う。
本気、か……?
「ふっ……勝てたら、な……」
万が一俺が負けたら、お前に頭の座ぐらいくれてやる。



